『とある飛空士への追憶』を見た

 宍戸淳監督、テアトル新宿、10/2、20:50の回
 上映中にスクリーンにセミが止まっていたのが気になって内容に集中できなかった。スクリーンが汚れている映画館てのはまれにあるが、でかい虫が止まっていたのははじめてだ。
 お話としては身分違いの悲恋と空戦を組み合わせた定番的な話なので、あとは心理描写とアクション演出次第ということになるのだが、その心理描写が積み重なっている感もアクションの爽快感も今ひとつだったりしてなかなか盛り上がれない。主人公もヒロインも前半は感情を抑圧しているのでわかりやすいアニメ的表現がしづらいのだがそれを見せるのが演出というものではあろう。
 アクションについていえば、CGなのはしょうがないにしても、すごいことやってんだぜっていう感じがぴんとこない。飛行機がふたつ飛んでてもなんだろうなあという感じ。日本のアニメで巨大ロボットものが人気でたのも、ロボットならばいろいろ動かせて感情表現を豊かにできるということなんだろう。空戦ものってほとんど流行らなかったものね。
 よく言われてるとおりヒロインの声がよくなかった。主役も別によくはないのだが。感情を表現できない少女ということであればあんなもんだろうけど無人島以降もそのままではどうしようもない。ライトノベル原作なのだからもう一般向けにしようということはあきらめてふつうに声優キャスティングしてアニメファンを取り込む方向に走ったほうがよかったんではないかと思うが、花澤香菜を主役に据えた『文学少女』や『いばらの王』がヒットしたとも聞かないので難しいところだな。でも舞台挨拶だけは人入るだろう。

 アニメ映画というとどうしても少し高級感はあって一般向けで、という感じのものが多く、われわれアニメオタクが見てうれしくなるようなアニメ絵でアクションで美少女、みたいな作品てのは少ないのでそういうアニメファン向けプログラムピクチャーみたいなのが量産されるようになるとうれしいのだが、この作品もうまくいってないし、なかなか難しいよなと思ったのであった。