さいきん見た映画『意志の勝利』

『意志の勝利』"Triumph des Willens" レニ・リーフェンシュタール監督、1/5 渋谷シアターNにて、11:15の回

 歴史の勉強ではちょくちょく名前を聞く作品だがなかなか見る機会のない作品なので、夜勤明けの眠い体をおして見てきた。どうやら今月DVDが発売されるのでその記念だか宣伝だかの上映であるらしい。

 実に美しかった。
 ファシズムが持つ美しさ、そこに身をゆだねる陶酔感を見事に描き出している。国民一人ひとりがいかにヒトラーを熱望していたか熱狂的に支持していたかを体感せずにはいられない。野営地で愉快そうにはしゃぎまわるヒトラー・ユーゲントにはドイツの明るい未来を見いださずにはいられないし、沿道を埋め尽くす観衆や無限に続く人と旗の波には団結したドイツ国民の強さを見いださずにはいられない。夜間集会の荘厳さには宗教的な輝きすらある。彼らにとってはヒトラーは真に救世主だったに違いない。これに身をゆだねたらどれだけ気持ちよいだろうかとも思う。
 北朝鮮プロパガンダ映像を見ても「やらされてる感」ばかりでつまらない。『意志の勝利』のドイツ国民の心からの熱狂のすさまじさには負ける。
 私ももちろん大人なのでこの映画の危険さを警告するにやぶさかではないのだが、それはそれ、これは映画が描きだしうる美しさの極限を描きだしていると言わないではいられない。画質も『オリンピア』より古いわりに美しいし、内容が集会の記録映像だけに見てると眠くなるのが難点だが(徹夜明けにはつらかった)、見る価値はある。

 なお英語でもいいやという方はyoutubeでどうぞ。