『博徒一家』小沢茂弘監督

 新文芸坐にて。今年47本目。
 3人の跡目争いに絡んで現代やくざが勢力を伸ばしてくる。2時間近く、義理に苦しめられ続ける話であった。渡辺文雄が敵に回すのが高倉健若山富三郎大木実鶴田浩二志村喬と豪華すぎてたいへん。その味方が八名信夫はともかく金子信雄じゃすぐ裏切られそうだ。

『網走番外地 荒野の対決』石井輝男監督

 新文芸坐にて。今年45本目。
 子馬と戯れる健さんが楽しいんだけれど、あっさりと子馬が撃たれちゃう。馬は死ぬけど人は死なない西部劇調の映画。最後なんて6人が馬にのって並んで殴り込みに行くんだもの。
 馬が死んで狂乱する大原麗子がくどい。なお田崎潤河津清三郎が同じ映画に出てくると混乱しがちなことに気がついた。

『昭和残侠伝 死んで貰います』マキノ雅弘監督

 新文芸坐にて。今年44本目。
 引き算というか、敵も薄味、主人公サイドも母と親分の中村竹弥以外は軽量という感じで印象が弱いので、ごく少人数の話になっているからこそ任侠ものの仲でも屈指の名作となったのかもしれない。『破れ傘』なんて話が盛られすぎだった。

『昭和残侠伝 血染めの唐獅子』マキノ雅弘監督

 新文芸坐にて。今年43本目。
 『人生劇場 飛車角』では鶴田&高倉を敵にまわしている親分の水島道太郎さんが清川虹子の息子で鳶の一人という重いんだか軽いんだかよくわからない役をやっているのが不思議。池部良と天津敏の会話が変な感じなんだよなあ。高倉健池部良の二人の殴り込みに一緒にいく津川雅彦なんだが、花田秀二郎は斬り込みにいくときに『死んで貰います』では長門裕之の松には断るのにこの津川雅彦の武はいいんだよな。

『誰よりも狙われた男』アントン・コルバイン監督、"A Most Wanted Man"

 ギンレイホールにて。今年42本目。
 フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の出演作で、ジョン・ル・カレのスパイもの。スパイの世界では甘いやつが負けるってことなんだよなあ。