『キューポラのある街』11/14 銀座シネパトス

 吉永小百合は輝くばかりであるが、弟のタカユキがなかなか愉快だった。元気な子供たちが走り回る場面は児童映画のようだし、吉永小百合の苦悩は青春映画だし、またアイドル映画でもあろうし、当時の社会矛盾が描かれてる社会派映画だし単純にすごいなあと思ったり。
 当時は肯定的にとらえられていたしこの映画でもそう描かれている北朝鮮への帰還事業が出てくるのだが、その後の北朝鮮を知る我々は当時の人とはまた違う印象を持って見るのである。笑えないブラックジョークか。
 これら貧困とともにある時代を描く映画は80年代にはもう過去のものとなったかに見えて、50年近くすぎてまたビビッドな感慨を与える存在としてある。しかし現代ではこのような希望を含んだ終わりを描くのはきつい。この映画の結末も上記の意味で今では暗い未来を暗示させるものとなっている。